はじめに
「人生の勝算」(前田裕二)という本を読みました。
もともとSHOWROOMは知っていましたが、恥ずかしながら、最近まで社長の名前は知りませんでした。
知ったのは、昨年11月頃、ラジオに出演していたときです。
24時間で一気に本を書いてしまう、しかもラジオに出演しながら、という破天荒?なことをされていました。
そして、日は流れ…本屋で再び名前を拝見しました。「メモの魔力」という本です。
当時の自分はメモの方法を知りたい!というわけではなかったのですが、この方の本を読んでみたい!と思うようになり、Kindleで「人生の勝算」を買って読んだ次第です。
エンタメ×IT×新サービスで、努力する人が報われる社会を作る!という、普通に人生を送っている人には思いつきもしないような動機を、小学生時代の経験から説明しており、非常に面白かったです。
ビジネス本の部類ですが、半分は自叙伝、もはや小説?という感じです。事実は小説より奇なり、といったところでしょうか。
心に残ったフレーズやエピソード、教訓
プロローグ
- 本とは、著者と読者のディープな対話の媒体
- たしかになあ。と思いました。本は一方的に話しかけてきますが、こちらも感想を持てば、それはある種対話になります。さらに、言葉では話せないようなことも、文字になら落とし込めます。著者も赤裸々に綴ることができます。そういう点でディープな対話、というのは妙にしっくりきました。
第一章
- 人は「どこかで聞いたことがある」既知のコンテンツに琴線を揺さぶられる。
- 非常に同感です。音楽など、二度目に認識したとき、猛烈にハマる、というのを人生で何回も体験しました。これを小学生のときに発見しているのは本当にすごいです。
- 「ちゃんと作戦を立てれば、自分の思い通りの結果になる」
- 小さな頃からこういう成功体験を積み重ねて、正の循環に入っていくのが、大きなことを成し遂げる原動力になるのかなと思いました。小さい子には旅をさせよ、の真髄です。
- 「濃い常連客を作るステップ」:1.知らない人のコミュニケーション可能範囲に入る。2.リクエストを受けること。時間差で。
- 本の中では3ステップで説明されていますが、ファンを作るこの2ステップは、ビジネスはじめ、何事にも共通すると考えました。
- 絆を時間をかけてじっくりと育てていく→「コミュニティ」の形成。これからは「コミュニティ」が重視されていく時代。
- 先天的な才能がなくても、1.絆、2.コミュニティ、3.コミュニティの集合体であるプラットフォームを作れれば、ビートルズにも勝てる。
- 簡単な話ではありませんが、輪を広げていけば、極端な話、上手くなくても勝てる、というのは共感しました。音楽や芸能でなく、B to Cビジネスなどにも通じる話なのかなとか思いました。
- 廃れゆく商店街の中でスナックが潰れない理由:「モノ」ではなく「ヒト」が消費理由だから。「モノ消費」は景気や需要に大いに左右されるが、「絆」はそうではない。
- コミュニティ形成のエッセンス:余白の存在(未完成な感じが共感を誘う)、常連客(所属欲求を満たす)、仮想的、秘密や共通言語を共有、共通目的。
- 白地図を埋めていく過程がウケる。「モノ消費からコト消費」。
- ファンを中の人化する:1人が書いた本は10万人に売るのは難しい。10万人が書いた本は、最低10万人は買ってくれる。
- 一度運営側に回ったら、気づいたら顧客として大ファンになっている。
- ヒットしているものの多くにおいて、コミュニティが機能している。
- コミュニティベースのビジネス。これから意識していくとヒットを生み出すコツになるかもしれません。
第二章
- モノ・コンテンツ消費から、ヒト・ストーリー消費
- 不器用でも「努力を継続する」演者が人気を得る傾向にある。
- 歌のうまさや芸術性が価値になるのではなく、絆・コミュニティが生まれ、感動が生まれるのが質が高いコンテンツ。
- 「前向き課金」と「後ろ向き課金」がある。制限がないところに、運営側が制限をかけて課金を求めるのが後ろ向き課金。
- 前向き課金は、主体性があるため、ポジティブで温かい感情が伴いやすい。
- 現代において重要なのは、表現者が、オーディエンスの所まで降りてきて、丁寧なコミュニケーションを取ること。
- ここまではファンビジネスのコツですが、ビジネスをうまく回すために、ファンを作るというのは必要な要素な気がするので、すべての人に参考になるのではないでしょうか。
第三章
- 筆者は、逆境が人を高みに導くという価値観を証明するため、一番に成長を渇望していた。
- 成長を渇望している時点で、もう証明されたようなものですが…
- 宇田川さんの仕事のコツ「勉強なんかいらない。とにかく人に好かれること。秘書でも、掃除のオバチャンでも、受付の人でも、好かれなくちゃダメだ」
- 毎日受け付けの人に目を合わせて挨拶。
- 宇田川さんは人に好かれる天才であり、「人を好きになる天才」。その人の良いところや感謝できるポイントを見つけて、自分から好きになってしまう。
- この本で、個人的に一番参考になったのはここと言っても過言ではありません。みんなを本気で好きになれば、みんなから好かれて、仕事がうまく回りだす。そのためには、良いところや感謝できるところを探しながら、生きる。これが重要です。
- 「数値で言うなら、一人が頑張って到達できるのは1まで。でも、チームを育てて、みんなの力を掛け合わせれば、2にも10にも100にもできる。仲間を増やせば会社、世の中、世界だって動かせるかもしれない。」
- 「チームを育てるには、誰からも好かれてサポートしてもらえる環境を作ること。さらに、自分のこと以上に周りに時間を使って、強く育てることで、チームとして最強になること。」
- 宇田川さんに教わって以来、プライベートでもビジネスでも、相手に全力の愛情をもって接すると心がけている。正直相性が良くなくても、電話する前に「好きだ!」と心の中で100回唱える、など。
- 人を好きになる技術が非常に重要。「好かれる技術」とか言う前に。
- 「みんなサボっている。だから、普通に真面目にやるだけで勝てる。」何か特別なことをするだけでなく、当たり前を徹底的にやり続けるだけで、他の人とは圧倒的な差がつく。
- 筆者は新入社員時代、「ストックよりフロー。過去の成功体験に依存している人には負けたくない。すぐに後ろから追い抜いてやる」と意気込んでいた。
- お客さんの間でプライドを捨てる藤井さんを見て、プライドはコミュニケーションの邪魔になる。と学ぶ。
- バカをしてまで自分をさらけ出すことができるやつに、コミュニケーションの扉は開く。営業の真理ともいえる秘訣ここにあり。
- 自分には営業という仕事はきついな…と正直思った部分です。
- 相手に対して想像力を働かせ、何が効くか見極める。ポケモンバトルのように。武器を出す前に相手の属性を知ることが重要。
- ビジネスの世界では、優れたスキルや高度な情報をもっている人はそれほど重宝されない。代替可能なことが多いから。純粋に好かれる人間が勝つ。
- 周りを好きになって、好かれることが、代替不可能な人間になる唯一のコツなのですね…
- 現状をより良い方向に勧めたり、問題を解決したりするのに重要なのは、「他者の目」。
- コミュニケーションに求められることはシンプル。相手の立場に立つこと。
第四章
- 兄の死をきっかけに、急に死が身近な問題になった。
- 1年後、1ヶ月後、もしかしたら明日、自分は消えてなくなってしまうかもしれない。そんな状況で、自分は世の中に代替不可能な価値を残せているのか。
- 自分が死んだあとも、世界の人たちに影響を与え続ける何かを生み出すことにエネルギーを投じたい。
- モチベーションはどんな仕事術にも勝る。なんでも良い、モチベーションがハッキリしていることが重要。
- 「見極め」が重要。見極めが甘いと、モチベーションが続かない。
- モチベーションが続かないというのは往々にしてありますが、その原因が「やる気」とかの精神論でなく、「見極め」と説明しているのは興味深いと思いました。
- 見極めたら、あとは血みどろになって掘る。絶対に、見つけるまで掘る。
- 徹底して自分と向き合うこと。人生をかけて何をするかを見極める。自分のコンパス、何を幸せと定義し、どこへ向かっているのかという価値の言語化は必須。
- 仕事に没頭する人生も、家庭を大切にする人生、どっちでも良い。最も不幸なことは、コンパスをもっていないこと。持たぬがゆえに、隣の芝生が青く見えてしまうこと。
- 「選ぶ」というのは、同時に何かを捨てること。人生の質を高めるのは選択と集中。
- どんな幸せに満ちた時間を過ごしても、僕達はみんな死に向かっている。そう強く意識しているので、やりたいことをフルパワーでやっている。
第五章
- 起業プランを南場さんに話したときの反応「今うまくいく可能性は低い。事業を興して成功させるには、金融やコンサルにいる人が持たない別の力が必要だから。」「起業プラン自体には価値はない。肝はExecution。従業員の人生・家族の暮らしをカバーできる胆力があるか。」
- 筆者は、ビジネスや勉強が大好き。なぜなら、やればやるほど「必ず」成果が出るから。成果が出ないときは方法論のチューニングをすればいい。エンターテイメントビジネスを「頑張れば報われる」ものにしたい。
- 勉強もビジネスもうまくいった人ならではの発想ですよね。確かに、エンターテイメントの世界は中々「やればやるだけ」成果が出るものとは遠い気がします。
- 秋元康さんの言葉「夢は全力で手を伸ばした1ミリ先にある。」夢破れた人たちは、実はその夢に近づいていたかを気付かなかった人。
- 事業化に際して、まずやったのは「どこを目指すのか」というビジョンの共有。何があろうと決してぶれないレベルまで。
- 結構、これやってる人多いような気がします。ビジョン・理念をしっかり作り込んでおけば、後で迷ったときのコンパスになります。
- 結果がでないとき、南場さんの「事業は生半可な覚悟じゃ作れない。胆力が必要。」という言葉が頭をよぎる。
- チームで力を合わせてサービスを作る過程で、宇田川さんの「一人で行ける高みには限界がある」という言葉を実感する。
- 人を動かすもの、惹きつけるもの、それは熱量。
- 熱量からアイドルを最初のターゲットとした、とのことですが、この言葉は何にでも共通することですね…
- 扉は開くまで叩き続ける。
第六章
- 南場さん「企業が世の中に提供している価値や、幸せが大きいほど、それに応じた利益が返ってくる。利益は通信簿。」
- 世の中のソフトやコンテンツに大きな潮流の変化が起こるとき、必ず裏側でハード面での進化がある。
- この発想は自分にはなかったです。ハードの革命があってから、コンテンツの革命があるのですね…
- 世界一にこだわる理由:自分のコンパスが世界一を指し示すから。日本が世界で負けている状況が悔しいから。
- 日本人はルールの中で成果を出していくことに競争性がある。アメリカはプラットフォーム・ハコを作る側に立つセンスに長けている。
- 世界には2種類の逆境がある。努力で乗り越えられるものと、そうでないもの。後者は、仕組みや構造を作っている側に責任がある。
- 努力と情熱次第で、人はどんな高みにだって行ける。これを証明するために、SHOWROOMに人生をかける。
エピローグ
- 「社長は孤独である」というのは虚像。孤独と思わず、みんなに対して絶対的な愛情をもって接すれば、みんなにとって代替不可能な温かい居場所になる。
- 人生の試練に立ち向かう2つの大事なこと:どんなときも揺らぐことのない深く大きな愛情を持つこと。人生の価値観コンパスを明確に持つこと。
- 宇田川さんから教わったことと、前田さん自身の重要なことをかけ合わせた感じかもしれません。意識して生きていきたいと思いました…
- 明確な根拠など無くて良い。自分の信じた「人生の勝算」を持てることが、人生の幸福度を増幅させる。
- 強く光り輝くコンパスを持っていれば、どこからともなく、仲間は集まってくる。
解説(幻冬舎・箕輪さん)
- 前田さんの第一印象:腰が低く丁寧で親切、だけど、クレバーで本質的。
- 今も、初めて会ったときと印象は全く変わらず、常に人に気を遣う。
- 前田さんだけは誰からも愛されている。それは彼が損得抜きで、目の前の人にめちゃくちゃ愛情を注ぐし、一生懸命だから。
- 目の前一人ひとりに等しく最大限の愛情を注ぐ。仲間を増やしていく。目の前のことをやり抜く。その先に目標達成があるのだと思う。
- こういう人になりたいものです…って感じでした。